長靴で避難はホントにNG?

避難対策

災害が頻発する昨今、防災のいろんなノウハウがいろんなところで紹介されています。
でも、そのなかには根拠がよくわからない「常識」もたくさん存在しています。
そんな「常識」に惑わされないように検証していきます。

「それっぽい」けれど…

長靴で避難すると水が入って危ないので、スニーカーをはいて避難しましょう

大雨の季節になるとマスコミなどでよく聞く防災のノウハウです。自治体のホームページなどでも広く呼びかけられていて、もはや大雨避難の常識といった感じです。浸水が深くなると長靴の上から水が入り込んできて、重くなって歩きにくくなったり、脱げてしまったりして避難の妨げになるという理屈です。たしかに「なるほど」と思ってしまいます。が、ほんとうにそうなんでしょうか。

同じ視点ですでに実験まで行っている方がいらっしゃいました。
備え・防災アドバイザーの高荷智也さんです。

死なない防災!そなえるTVより

詳細は動画をご覧いただくとして、結論としては必ずしもスニーカーがよいとは限らないということです。長靴も全体が水につかっている間は安定して歩けたそうです。ただ、水からでるときに脱げそうになったということでした。一方のスニーカーも足首から上が保護されていないため、何があるかわからない水の中を歩くのは不安だったということです。ちなみに足にフィットして上の部分をひもで締められるレインブーツタイプが一番安定して水の中を歩けたということでした。

避難後のことも考えて

大雨のときにスニーカーで避難することのもうひとつのデメリットは、足が濡れてしまうということです。靴もグッショグショで、なかなか乾きません。そんな状態で避難場所にたどり着いても不快な状態で過ごさないといけなくなります。命が左右されるときに足が濡れるとかどうでもいいじゃないかと思うかもしれませんが、人間は「その後」も考えて行動する生き物のようです。東日本大震災では、車で避難した人たちが渋滞に巻き込まれ、避難が間に合わなかった事例もありました。そのため、津波避難は原則徒歩ということが呼びかけられています。しかし、震災の余震で津波警報が出たとき、多くの人が再び車で避難しました。津波で車を流され、その後の避難生活で苦労したからです。スニーカー避難も「足元が濡れるのがいやだから」という理由で避難をためらう人を生み出しかねないのです。

浸水してからの避難はほぼ「手遅れ」

そして、長靴に水が入ってくるということは、20~30センチは浸水しているということになります。そもそも論ですが、そんな状況になってから避難することは危険です。大雨の浸水はだいたい濁っています。水面下に何があるかわかりません。一歩先の深さもわかりません。傘や杖で先の深さをさぐりながら進みましょうというのも見かけますが、深くなっている理由が道路のへこみとかならまだしも、用水路やふたが開いたマンホールだったら吸い込まれていってしまいます。浸水した道路をじゃぶじゃぶ進んで避難しないといけないとなると一刻を争う状況です。悠長にはいていく靴のを選んでいる場合ではありません。スニーカーで避難することが最善のケースもあるかもしれませんが、避難の鉄則は「安全なうちに」です。状況が悪化する前に、長靴をはいて足元が濡れる心配なく避難することをまず心がけるべきではないでしょうか。

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