防災のウソ③ “ダンゴムシ”で命は守れる⁉

防災知識

皆さんは、ダンゴムシのポーズをご存じですか?
地震から子どもたちの「命を守る」ポーズとして定着しました。
多くの幼稚園・保育園で訓練にも導入されています。
でも、本当にそれで大丈夫?

ダンゴムシのポーズの“魅力”

ダンゴムシのポーズは、地震から子どもたちを守るための姿勢です。
ダンゴムシのようにまるまって伏せて、ひじとひざ、足の甲を床につけて、
手を頭の上にのせて地震の揺れから身を守ります。

ダンゴムシのポーズ

各地の幼稚園や保育園で避難訓練で取り入れられています。
広まったのは、このポーズが未就学児でも覚えやすいように
「開発された」からだと考えられます。
ダンゴムシという子どもたちにおなじみの虫で姿勢を教えることができます。
しかも、「その場で丸まるだけ」で子どもたちの命を守ることができます。

地震災害が頻発するなかで、教育現場も対応を求められています。
小さな子どもにも簡単に教えられて、ワンアクションで地震から命を守ることができる。
こんなに心強いものはありません。

忘れられた“大前提”

子どもの防災教育の現場で”大人気”のダンゴムシのポーズですが、
ポーズをとるだけで本当に地震から命を守れるのでしょうか。
ダンゴムシのポーズは、太い血管が通っている部分を内側に向けるなど
細かいところまで工夫された姿勢のようですが、
大きな家具が倒れこんできたり、建物の壁や梁が崩れてきたら
どう考えても無理ですよね…。
なんせ、生身の子どもが姿勢を変えただけですからね。

子ども向けに「開発された」姿勢がそんな杜撰なことあるのかなぁ…。
答えは東京都の資料にありました。

東京都教育委員会「防災ノート」より抜粋

東京都教育委員会が小学校低学年向けに発行している資料では、
 「ものが落ちてこない、倒れてこない、移動してこない場所」で
ダンゴムシのポーズをとるように指導しています。
ダンゴムシのポーズは「安全な場所」でさらに安全性を高めるための姿勢だったのです。

しかし、「揺れたらその場でダンゴムシのポーズ」という都合のいい部分が切り取られ、
最も重要な大前提が忘れられて、防災教育の現場に広がっていったと考えられます。

銀の弾丸はない

「銀の弾丸はない」という言葉があります。
銀の弾丸は西洋の伝説で狼男や吸血鬼などの怪物を一発で倒せるものとされています。
つまり、「銀の弾丸はない」とは、一発で問題を解決できる
万能なツールは存在しないという意味です。

ソフトウエアエンジニアリングの世界で広がった言葉のようですが、
防災の世界にも適用できそうです。

「ダンゴムシのポーズ」も一見、子どもたちの命を守る「銀の弾丸」に見えますが、
よくよく考えてみると、そうではないことがわかります。

防災の世界には、偽物の銀の弾丸がたくさんあるようです。
「銀の弾丸はない」という言葉、肝に銘じておきたいですね。

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