いつ逃げる? 台風編

避難対策
気象庁ホームページより

あなたの住んでいる街に巨大な台風が接近しつつあります。
住んでいる地域には土砂災害や洪水のリスクがあり自宅にとどまることは危険です。
あなたは、どのタイミングで避難を始めますか?

危険を感じたら…はキケン

まずはこちらの動画をご覧ください。

毎日新聞公式YouTubeチャンネルより

当時の報道によると車ごと流された男性は、「激しさを増す風雨に不安を感じて」避難をはじめたということです。一方、避難開始当初の車内の会話からは危機感はあまり感じられません。男性が命の危険を感じたのはまさに車が濁流に流される直前でした。避難が困難なほどまわりの状況は悪化していたのに、そのことに気づくことはできていなかったのです。この動画は自宅周辺での雨の降り方といった限られた情報をもとに「不安」や「危険を感じた」という感覚的なタイミングで避難を開始することの危険性を物語っていると思うのです。ちなみに男性は何とか車から脱出して浸水したところから逃げることができたそうです。まさに九死に一生でした。

たくさんあった避難のタイミング

男性が避難を開始したのは午後8時40分すぎのことです。このとき台風は神奈川県付近を進んでいました。男性が住んでいる栃木県足利市にかなり近づいていたのです。実は、このときまでに避難を促す情報はたくさん出ていました。気象庁や自治体では度重なる災害を受けて、避難を促す情報を増やしています。台風19号が接近していた10月12日、足利市には以下のような情報が出ていました。

  • 午前6時19分 大雨警報
  • 午後1時44分 洪水警報・暴風警報
  • 午後4時40分 土砂災害警戒情報
  • 午後7時50分 大雨特別警報

避難開始のきっかけになるさまざまな情報があったにもかかわらず、男性が避難を始めたのは午後8時40分ごろでした。大雨特別警報が出てから1時間近くが経過しています。足利市の記録によると午後7時半ごろには市内の川で氾濫が発生し、消防の多数の救助要請が寄せられています。客観的な情報からは避難のタイミングは「手遅れ」だったのです。

「鉄の掟」を決めておく

結果的に九死に一生の経験をすることになった男性の避難ですが、非常に人間らしい避難だったといえると思います。人間はどうしても目の前に迫った危機を軽く評価してしまい、まだ大丈夫、まだ大丈夫と避難を先送りしてしまいます。災害時の避難には、こうした人間性にあらがう判断が求められます。

では、どのタイミングんで避難を始めればよいのか…。その正解はありません。あなたがどんな地域に住んでいるか、どんな家に住んでいるか、家族構成によっても違ってきます。ただ、ひとつだけいえることがあります。避難するタイミングを具体的な情報をもとに事前に決めて、「鉄の掟」のどこくそれを守るということです。台風が接近してきてから状況をみて避難のタイミングを決めるのでは、まさに男性と同じように「大丈夫の罠」にはまってしまいます。そして、タイミングを決める情報は「雨が強くなってきたら」とか「川が増水してきたら」といった解釈に幅が出るあいまいなものではなく、「〇〇警報が出たら」「総雨量が〇〇〇ミリを超えたら」「川の水位が〇メートル〇〇センチに達したら」といったぶれようがない具体的な情報でなければなりません。避難したけれど何もなかったという「空振り」になる可能性は高まるかもしれません。それでも、「大丈夫の罠」に打ち勝つためには「鉄の掟」が一番だと思うのです。

コメント