体温を超える気温は当たり前になった近年の夏。そんなときに大地震が発生したら…。
停電でエアコンも冷蔵庫も使えない、そんな状況下で熱中症を防ぐためには。
猛暑日の大地震 そのときオフィス街は…
気温が35℃を超える猛暑のなか、大地震が発生。
都心のオフィス街ではそのとき何が起きるのか。
真夏の大地震の熱中症リスクについて、数少ないながら研究事例も存在します。
研究では、8月上旬の日中に大地震が発生して、オフィス街の人たち5700人が
一斉に避難や帰宅を始めた想定でシミュレーションが行われました。
その結果、混雑で日差しの強い場所から動けなくなる人が続出し約半数の2600人が
熱中症リスクが高い場所に滞在し続けざるをえくなることが示されました。
出典:「震災時の帰宅行動と熱環境上のリスクに関する研究 ーもし311が発生したのが真夏だったら」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalcpij/54/3/54_1066/_pdf
シミュレーションは都心のオフィス街の200m四方を対象に行われましたが、
都心全体で考えれば、万単位の熱中症患者が発生するかもしれません。
通常であれば、救急車がかけつけて緊急医療を受けることができるはずの症状でも
大地震発生時は、治療を受けられないどころか、
冷房の効いた場所で涼むことも、冷たい水を飲むことすら困難です。
こうした状況下では熱中症にならない備えや行動が
生死をわけるといっても過言ではありません。
体感温度の上昇を防ぐには
体感温度とは、気温だけでなく湿度や日射の影響も加味して
人体が熱の影響をどれだけ受けるか示したものです。
冷房にあたったり、冷たい水を飲んだりすることが難しい状況下では
体感温度を上げないことが熱中症を防ぐ重要なポイントになります。
大原則は”直射日光を避ける”
真夏の日中は日なたと日陰では体感温度が7℃ほど違うといわれています。
日中は建物の中や日陰にとどまり、日が落ちてから行動するのが原則です。
帽子をかぶる
日差しがある場所で行動する場合は帽子をかぶって頭部の温度上昇を防ぎましょう。
帽子の有無で、頭部の温度が約10℃違ってくるといわれています。
効果を考えれば、キャップよりもつばが広いハットタイプの帽子がいいでしょう。
シャツは長袖
意外かもしれませんが、日差しが強く気温が体温を超えるような場合は、
日射や高温の空気を遮断できる長袖の方が半袖よりも体感温度の上昇を抑えられます。
服の色は白系
服の色は白や黄色など光を反射する色の方が温度の上昇を防げます。
ただ、紫外線は透過しますのでUVカット機能がある服がおすすめです。
シャツの裾はズボンから出す
シャツの裾は外に出したほうが通気性がよくなって
体感温度を下げられるという調査結果もあります。

気化熱を最大限利用せよ!
”熱風”でも扇風機(風)は効果あり?

気温が上がりすぎると扇風機などで風を送っても”熱風”が当たるだけで
体感温度を下げる効果がないのではないかという意見もありますが、
実際には「日本の猛暑下では効果あり」という場合が多いようです。
風にあたると涼しくなる理由は二つあります。
ひとつは体温で暖められた空気を風が追いやり
まわりの冷たい空気と入れ替えてくれるからです。
たしかに、この効果は気温が体温を超えると発揮されません。
もう一つは、水の蒸発を促す効果です。
この効果は気温が体温を超えていても発揮されます。
汗が気化して熱を奪うのを促進して体感温度を下げてくれます。
ただ、湿度が極端に低いもしくは高い場合は、
風に関係なく気化が進む、ないしは進まないことになり効果が出ません。
ただ、日本の夏の猛暑のときは湿度が50%前後のことが多いため、
体温を超えるような高温でも扇風機などの風にあたることで
体感温度を下げる効果は期待できると考えられます。
ポータブル扇風機や扇子をふだんから持ち歩くことが
いざというときも熱中症を防ぐことにつながります。

霧吹きで気化熱の効果を加速化
炎天下を歩き続け、ぬるま湯のようになったペットボトル。
そんな水を飲んでも熱中症を防ぐ効果は期待できません。
一方で、その水を霧吹きで体にかけ、大量の汗をかいたような状態にすることで
体感温度を下げる効果を促進できると考えられます。
肌着の素材でも気化熱効果は変わる
綿は吸水性が高い反面、乾きにくいため気化熱を利用しにくくなります。
熱中症リスクを考えた場合、肌着はポリエステルなど
速乾性の高い素材の方がよいといわれています。
それでも、何とか冷やしたい!
ここまでは、停電などを想定してクーラーや飲み物で
体を冷やすことができない前提で対策を考えてきました。
しかし、熱中症対策で一番効果的なのは体を冷却することです。
停電時でも何とか冷やす方法はないものか…。おすすめなのが「瞬間冷却パック」です。
衝撃を与えてることで冷却が始まるので、使用前は常温状態で保管・持ち運びできます。
ドラッグストアや100均で1個100円~200円程度で販売しています。

冷却を始めると数秒で凍った保冷材のような冷たさになります。
持続時間は、商品にもよりますが15分程度と短いのがデメリットです。
最初の冷たさが持続するのではなく、だんたんと温度が常温に近づいていきます。
貴重な冷却時間を無駄にしないためには効果的に体を冷やす必要があります。
首もとや脇の下、手のひらといった太い血管が近くを通っていたり、
血管が集まっている場所を冷やすことで、効果的に体温を下げることができます。



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