休日の昼下がりに買い物を楽しむ人たち。
そこに、首都直下地震が襲ったら…。
都市に潜むリスクから身を守るためには。
想定外の危険は頭上から
揺れで空から落ちてくるもの …それはずばり天井です。
1990年代から大規模な商業施設の規制が緩和され、
各地に次々とショッピングモールなどができました。
こうした商業施設は、比較的新しく、鉄筋コンクリートでできている建物が多いため、
建物自体の耐震性や耐火性には優れています。
「だったら首都直下地震に対しても安全なのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、倒壊や火災のリスクは低いと考えられます。
一方で、こうした施設に特有のリスクが天井の落下なのです。

国土交通省は東日本大震災を教訓に
「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」の
耐震性の強化を打ち出しました。
しかし、規制が始まったのは平成26年からです。
それ以前に建てられた施設の「危険な天井」はそのままです。
大規模な施設で用いられる「吊り天井」は、
1㎡あたりの重さが10kg以上ある場合が多いようです。
大規模な施設では、ホールが吹き抜けになっていて、
天井の高さが10mという例も珍しくありません。
首都直下地震が休日の昼間に起きたら、
買い物を楽しむ人たちの頭上に
10mの高さから数十kgの天井板が次々と降り注ぐのです。
今までなかったは偶然?
天井落下による被害は過去の震災ではあまりクローズアップされてきませんでした。
背景のひとつには地震の発生時刻があると考えられます。

写真は熊本地震の際の商業施設の被害です。
入口付近と思われる場所の天井が落下しています。
この下敷きになったら…と思うとゾッとします。
ただ、熊本地震が発生したのは夜間でした。
店舗はすでに閉店していて、お客さんはいなかったと思われます。
また、阪神淡路大震災も発生したのは早朝でした。

一方、東日本大震災では約2000件の天井落下が発生し、5人が死亡してます。
しかし、津波被害が大きくクローズアップされたため、
天井の落下については、あまり注目されませんでした。
首都直下地震の被害想定では、建物被害は阪神淡路大震災のデータを中心に
推計されているため、天井落下による人的被害は想定されていません。
ただそれは、地震で天井落下による人的被害が出ないということではなく
これまでは偶然、人がいなかったということに過ぎません。
天井落下から身を守るには
地震が発生してから天井が落下するまでの時間はおそらく1分もありません。
でも、その場でカバンなどで頭を守る方法はおすすめできません。
数十kgの重量物が10mの高さから落ちてきた際の衝撃を
身近なもので吸収できるとは到底考えられないからです。
揺れを感じたら、緊急地震速報が鳴ったら、
天井落下のリスクが低い場所にすみやかに移動するしかありません。
ただ、どこがリスクが低い場所なのか瞬時に見分けるのは難しいと思います。
参考になるのは天井の高さと広さです。
法律の基準では、高さ6m以上、広さ200㎡以上が耐震規制の対象になっています。
ショッピングセンターや体育館、音楽ホールなど
天井落下による被害のリスクが高い場所では、
地震が起きたらすみやかに「天井が低い場所」「天井の面積が小さい場所」に
移動することが生き残るための鉄則です。
そのためにはあらかじめ、どこが安全か確認しておくことも重要です。



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