防災のウソ① “おはしも”を守ってはいけない⁉

防災知識

最近、災害のたびにSNSなどで「デマ情報」の拡散が問題になっていますが、
公的機関や報道機関が使っている、薦めている防災情報にも
「ウソ」があるとしたら…どう思いますか?

みんな知ってる「おはしも」

「おはしも」、おさない・はしならい・しゃべらない・もどらないの頭文字をとった標語です。
誰もが聞いたことがある学校の避難訓練で用いられる標語ですね。

地域や学校によっては「おかしも」とか「おはしもて」など派生バージョンもあるようです。
東京都教育委員会では「おさない」「かけない」「しゃべらない」「もどらない」の
「おかしも」を採用していて、避難時のキーワードとして
必ず指導する基本的事項として定着させること」となっており、 
子どもたちの命を守る重要な標語として重視されていることがわかります。

東京都教育委員会「避難訓練の手引き」より

この標語は、一説には阪神・淡路大震災を契機に
消防庁が採用したことで、全国に広まったとされています。
※消防庁のウェブサイトでは「おはしも」に言及した資料は掲載されていないため信憑性には注意が必要

学校の避難訓練の標語の約76%が「おはし」「おはしも」「おかしも」の
いずれかだったという調査結果もあり、
全国津々浦々にに広がっている「国民的防災ワード」であることがわかります。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/6745/ir_material25/246006/00.pdf
ホーチキ株式会社 避難合言葉を大調査「全国おはしも調査」

「おはしも」って何の標語?

ところで、「おはしも」って何の標語ですか?
子どもたちが安全に避難するための標語でしょうか?

でも、ちょっと考えてみるとおかしくないですか?
「はしならい」。津波がすぐそばまで迫っていても?建物がいまにも崩れ落ちそうでも?
「しゃべらない」。友達に向かって上から物が落ちてきていても?

よくよく考えてみると「おはしも」って避難の標語としてホントに大丈夫?
実は「おはしも」は避難の標語ではなくて、
もともとは「避難訓練」の標語だったという説があります。
何が違うの?と思うかもしれませんが、
本来は学校で集団で行う避難訓練を円滑に行うための標語だったということです。
それが使われていくうちにいつのまにか
避難の標語=「安全に避難するために守るべきこと」に変化していった可能性があるのです。

「おはしも」を守って避難してはいけない

「おはしもは避難訓練の標語説」には明確な根拠は確認できていません。
しかし、何が起こるかわからない災害時には走らないといけないときもあるだろし、
叫ばないといけないときもあるだろうというのは想像に難くありません。
「おはしも」を徹底すれば安全に避難できるというのは間違いであることは自明です。

阪神・淡路大震災、東日本大震災、西日本豪雨、能登半島地震…。
大規模な災害のたびに新たな課題が浮かび上がってきます。
多様化する災害に対して「おはしも」という単純化した標語で
対応できる時代はもう終わったのかもしれません。

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